私が見る広島原爆
昭和二十年の夏のある日、快晴。
朝八時、広島市の上空に凄まじい閃光と共に、巨大なキノコ雲がのぼってきた。熱風と放射線が一瞬で地面に届き、何もかもが焼きつくされた。そして間もなく、一部の地域では黒い雨が降ってきた。
リトルボーイと名付けられた原子爆弾だった。当時の人びとはそれを知らず、ただそれを「新型爆弾」と呼んでいた。広島原爆といえば、日本語の教科書に載っている原爆ドームの写真を思い浮かべる。それは爆心地にある旧広島県産業奨励館だった。旧広島県産業奨励館は爆心の直下にあったがゆえに、爆風から免れた。今は人類への警鐘を鳴らす象徴として残されている。
最初の「新型爆弾」は広島県広島市に投下された。そして3日後に長崎県長崎市で二つ目の「新型爆弾」が投下された。その閃光がもたらしたものは、キノコ雲と熱風と放射線と黒い雨だけではない。その日、熱風に砕かれたガラスは無数のかけらとなり、人の体に突き刺さった。それから、皮膚が原爆の熱線に耐えられず、剥がれ落ちたり、めくれたりした。このように、やけどを負ったたくさんの人たちが大量の水分を失ったため、川辺に水を求めた。ところが、川の中には大量の放射線がたまっていて、すこしでも飲んでしまったら即死だ。これが原因で川辺に大量の死体がたまっていたことを、どこかで読んだ覚えがある。
戦争は地獄を人間の世界にもたらす。そしてみるみるうちに人間の世界を地獄に変える。戦争さえ始まらなければ、その地獄のような光景は見られなかったはずだ。とはいえ、「戦争さえ始まらなければ」というのは、子供の甘い夢に過ぎない。人類は生きているかぎり、限られた資源のためにもがき続けなければならない。私たちは平和な時代に生まれ育てられてきたが、「戦争は一刻たりとも止んだことはない」ということを、誰しも知っているはずだ。今でも地球上のどこかで、子供たちは爆弾の襲撃で倒壊した家のために、そして戦争で亡くなった家族や友達のために泣いているはずだ。何はともあれ、過ぎた去った過去には戻れない。倒壊した家も、そして亡くなった人たちも。一体、人間同士の憎しみは消え去るのだろうか。私にも分からない。
キノコ雲はすでに消えている。晴れた日は何十年も続いてきた。が、いつかまた来るのではないかと心配で、また戦争にならないよう心掛けているために、人びとは協力して記念博物館を建てたり、戦争の遺跡を残したりした。一度あったことが二度ないように。
5段階評価:
1.たいへんよくできました
2.よくできました
3.ふつう
4.もう少しです
5.もう少しがんばりましょう
評価:
1.たいへんよくできました
日本語としての完成度99%、日本語としてなんの違和感もなく読める完璧な日本語です。
词汇积累
快晴:晴朗,万里无云(的天气)。(空が気持ちよく晴れること。)
閃光:闪光。(瞬間的に発する光。)
何もかも:完全,一切。(どれもこれも。すべて。)
原爆ドーム:原子弹爆炸遗址。
砕く:打碎,粉碎。(打ちこわしてこなごなにする。)
剥がれる:剥落,揭下。(表面に付いた物が剥げて、めくれたり落ちたりする。)
即死:(发生事故后)当场死亡。(事故などにあったその時点ですぐさま死ぬこと。)
みるみる:眼看着,转眼间。(見ているうちに、ある事が急激に進行するさま。たちまち。見る間に。)
倒壊:倒塌,坍塌。(建物などがたおれてつぶれること。)
表达积累
がゆえに:…的缘故、因为…。
に過ぎない:只不过,不过,只是。(ただ……であるだけのことだ)
かぎり:只要……就……。(ありったけ。)
たりとも:即便是,哪怕是,纵然是。就是……也……