1本質的区別
「は」:品詞は副助詞(「取り立て助詞」とも)で、主題を提示する。提示するのは主に既知情報。
「が」:品詞は格助詞で、主語、対象などを提示する。提示するのは主に新情報、未知情報。
2どれか一つしか使えない場合
01目的語を提示
「は」可
「ご飯を食べた。」→「ご飯は食べた。」
「が」不可
「ご飯を食べた。」→*「ご飯が食べた。」
02格助詞「に」「で」「へ」「より」に付く
「は」可
「そこには木がある。」
「昨日よりは涼しくなった。」
「が」不可
*「そこにが木がある。」
*「昨日よりが涼しくなった。」
03述語の中で使う
「は」可
「その本ならまだ読んではいない。」
「この映画、面白くはない。」
「が」不可
*「その本ならまだ読んでがいない。」
*「この映画、面白くがない。」
04主節と従属節の主語が一致しない場合、従属節の主語
「は」不可
*「田中さんは部屋に入ると、林さんは電気をつけた。」
*「雨は降っているのに、太郎は出かけた。」
「が」可
「田中さんが部屋に入ると、林さんは電気をつけた。」
「雨が降っているのに、太郎は出かけた。」
05「ウナギ文」の主題
「は」可
「僕(が注文したのは)はウナギだ。」
「が」不可
*「僕がウナギだ。」
06主語としての疑問詞を提示
「は」不可
*「誰は小林さんんですか?」
*「どこはおもしろいの?」
「が」可
「誰が小林さんんですか?」
「どこがおもしろいの?」
07断定文
「は」「が」どれも可
「太郎は学生だ。」(太郎の属性はというと、学生だ。)
「太郎が学生だ。」(他の人ではなく、太郎こそが学生だ。)
「太郎はその学生だ。」(太郎はどの学生かというと、その学生だ。)
「その学生が太郎だ。」(どの学生が太郎かというと、その学生がだ。)
「は」「が」どれも不可
*「学生は太郎だ。」
*「学生が太郎だ。」
3紛らわしい使い方の場合
次の場合では、「が」は「は」に取り換えることができるが、そうすると、対比または既知情報として表すことになる。
01「は」で主題を提示、「が」で解説部の主語・対象を提示
①「ハ―ガ」構文
「象は鼻が長い。」
「この町は駅前が賑やかだ。」
②感情、生理現象の対象
「太郎は花子が好きだ。」
「私は頭が痛い。」
③難易文
「私にはこの本が読みやすい・読みにくい。」
④可能文
「太郎は中国語が話せる。」
「は」に取り換えると対比を表すことになる。
「象は鼻は長い(が、足は太い…など)。」
「太郎は中国語は話せる(が、フランス語は話せない…など)。」
02「は」で属性叙述を表し、「が」で事象叙述を表す
「は」で属性叙述
「犬は走る。」(犬という動物の属性はというと、走るという能力を持つ。)
「が」で事象叙述
「犬が走っている。」(目の前にある犬が走ってているという事象を目撃している)
「は」に取り換えると、対比を表すことになる。
「犬は走っている。」(犬なら走っている(が、他の動物なら走っていない…など))
「は」に取り換えると、既知情報を表すことになる。
「犬は走っている。」(君が関心を払ったその犬はというと、走っている。)
03「が」で中立叙述を表す
「大変だ、太郎が病気だ。」(太郎という主語は病気という状態にある。)
「窓ガラスが割れている」(窓ガラスが割れているという状態にある。)
「机の上に本がある。」(机の上に本という主語が存在する。)
この場合、「は」に取り換えると対比または既知情報を表すことになるが、意味上原文とはそれほど変わらない。
04「が」で総記を表す
「太郎が学生だ。」(他の人ではなく、太郎こそが学生だ。)
「私がその会議に出席します。」(他の人ではなく、私こそがその会議に出席する。)
この場合、「は」に取り換えると対比または既知情報を表すことになり、意味上も原文とはかなり変わってしまう。