2022考研二外日语古语考前必背知识点2:名篇开头及名场面
2021.09.21 07:34

  01

  物语

  1

  『枕草子(まくらのそうし)』

  清少納言(せいしょうなごん)平安中期

  ①冒頭部(春):

  春は曙(あけぼの)。やうやう白くなりゆく山際(やまぎは)、すこしあかりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。

  春は曙がいい。次第に白んでいくと、山際の空が少し明るくなって、紫がかった雲が細くたなびいているのがいい。

  ②名場面(夏):

  夏は夜。月の頃はさらなり、闇もなほ、蛍飛びちがひたる。雨など降るも、をかし。

  夏は夜。月が出ているときは言うまでもない。闇夜であっても、ほたるが多く飛び交っているのはいい。また、ほんの一、二匹などが、ほのかに少し光って飛んでいくのも趣がある。そんな夜には、雨など降っても風情がある。

  ③名場面(秋):

  秋は夕暮。夕日のさして山端(やまぎは)いと近くなりたるに、烏の寝所へ行くとて、三つ四つ二つなど、飛び行くさへあはれなり。まして雁などのつらねたるが、いと小さく見ゆる、いとをかし。日入りはてて、風の音(おと)、虫の音(ね)など。

  秋は夕暮れ。夕日がさして山の端にとても近くなっている頃に、烏がねぐらへ行こうと、三羽四羽、二羽三羽などと飛び急ぐのさえ、しみじみとした情緒がある。まして雁などが連なって、とても小さく見えるのは実に趣がある。日が入りきって、風の音、虫の音などが聞こえるのは、やはり何ともいえないものだ。

  ④名場面(冬):

  冬はつとめて。雪の降りたるは、言ふべきにもあらず。霜などのいと白きも、またさらでもいと寒きに、火など急ぎおこして、炭(すみ)持てわたるも、いとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、炭櫃(すびつ)・火桶(ひをけ)の火も、白き灰(はひ)がちになりぬるは悪(わろ)し。

  冬は早朝。雪が降ったのは言うまでもない。霜がたいそう白いのも、またそうでなくても、とても寒い朝に、火などを急いでおこして、炭を持ち運ぶのも冬の朝に似つかわしい。昼になり、寒さがだんだんゆるんでいくと、火桶の炭も白い灰が目立ってきて感じ悪い。

  2

  『方丈記(ほうじょうき)』

  鴨長明(かものちょうめい)鎌倉前期

  ①冒頭部:

  ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮ぶ泡沫(うたかた)は、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人と栖(すみか)と、又かくのごとし。

  流れる川が絶えることは無い。とは言え、その水は旧の水ではない。川面に浮かぶ泡つぶは、消えては生まれ、生れては消え、片時もとどまることはない。世の中に棲む人も住みかもまたこれに同じ。

  ②名場面(第二段):

  たましきの都のうちに、棟(むね)を並べ、甍(いらか)を争へる、高き卑(いや)しき人のすまひは、世々(よよ)を経て尽きせぬ物なれど、是をまことかと尋(たづ)ぬれば、昔しありし家はまれなり。或は去年(こぞ)焼けて今年作れり。或は大家(おほいへ)滅びて小家(こいへ)となる。住む人も是に同じ。所もかはらず、人も多かれど、古(いにしへ)見し人は二三十人が中に、わづかに一人二人なり。朝(あした)に死に、夕べに生(うま)るるならひ、ただ水の泡(あわ)にぞ似たりける。

  絢爛豪華な都の中にあって、軒を並べ、甍を競う、貴賎上下の人々の住まいは、幾世代にわたって尽きせぬものだが、これをよく見ると昔から続いている家は稀である。去年火事にあって立て替えられていたり、大きな家だったのが没落して小さな家に替わったり。中に住む住人もまた同じ。場所も変わらず、住む人も多いのだが、昔からそこに居たという人は、2、30人のうちに一人か二人だ。朝に生れて、夕方には死ぬ、これこそまさに 川面に浮かぶうたかたに同じだ。

  3

  『徒然草(つれづれぐさ)』

  吉田兼好(よしだけんこう)鎌倉末期

  冒頭部:

  つれづれなるままに、日くらし、硯(すずり)にむかひて、心に移りゆく由無事(よしなしごと)を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそ物狂(ものぐる)ほしけれ。

  手持ち無沙汰にやることもなく一日を過ごし、硯(すずり)に向かって心に浮かんでくる取りとめも無いことを、特に定まったこともなく書いていると、妙に馬鹿馬鹿しい気持ちになるものだ。

  02

  物语

  1

  『竹取物語(たけとりものがたり)』

  平安初期・現存最古物語

  冒頭部:

  今は昔、竹取の翁(おきな)といふ者ありけり。野山にまじりて竹を取りつつ、よろづのことに使ひけり。名をば、さぬきの造(みやつこ)となむ言ひける。その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありける。あやしがりて寄りて見るに、筒の中光りたり。それを見れば、三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり。翁言ふやう、「我、朝ごと夕ごとに見る竹の中におはするにて、知りぬ。子となり給(たま)ふべき人なめり」とて、手にうち入れて家へ持ちて来ぬ。妻(め)の嫗(をうな)に預けて養はす。うつくしきことかぎりなし。いと幼ければ籠(こ)に入れて養ふ。

  今となっては昔のこと、竹取りの翁という者がいた。野山に入って竹を取っては、さまざまなことに使っていた。名前はさぬきの造といった。彼が取っている竹の中で、根元が光る竹が一本あった。不思議に思って近寄ってみると、竹の筒の中から光っている。その筒の中を見ると、三寸くらいの人がたいそうかわいらしい様子で坐っている。じいさんが言うには、「私が毎朝毎晩見る竹の中にいらっしゃるので分かった。きっと私の子になりなさるはずの人のようだ」と思い、手のひらに入れて家へ持ち帰った。彼の妻であるばあさんに預けて育てた。かわいらしいことこの上ない。たいそう小さいので、かごに入れて育てた。

  2

  『伊勢物語(いせものがたり)』

  平安中期・歌物語

  昔、男(をとこ)、初冠(うひかうぶり)して、平城(へいじゃう)の京、春日(かすが)の里に、しるよしして、狩りにいにけり。

  その里に、いとなまめいたる女はらから住みけり。この男、かいま見てけり。

  思ほえず、ふるさとにいとはしたなくてありければ、心地(ここち)惑ひにけり。

  昔、(ある)男が元服して、奈良の京の春日の里に、(その土地を)領有している縁で、鷹狩りに出かけた。

  その里に、たいそうたおやかで優美な姉妹が住んでいた。この男は、(その姉妹を)垣間見てしまった。

  思いがけなく、(こんな)古い都に(姉妹が)とても不似合いなようすでいたので、(男は)心が乱れてしまった。

  3

  『源氏物語(げんじものがたり)』

  紫式部(むらさきしきぶ)平安中期

  いづれの御時(おほんとき)にか、 女御(にょうご)・更衣(かうい)あまた侍(さぶら)ひ給(たま)ひいけるなかに、いとやむごとなき際(きは)にはあらぬが、すぐれて時めき給ふ、ありけり。

  どの帝の御世であったか、女御や更衣が大勢お仕えなさっていた中に、たいして高貴な身分ではない方で、きわだって帝の寵愛を集めていらっしゃる人があった。

  03

  日记

  『土佐日記(とさにっき)』

  紀貫之(きのつらゆき)平安中期

  男もすなる日記といふものを、女もしてみむとて、するなり。

  男も書くとか聞く日記というものを女(であるわたし)も試みてみようと思って書くのである。

  04

  军记物語

  『平家物語(へいけものがたり)』

  (作者未詳)鎌倉前期

  祇園精舎(ぎおんしゃうじゃ)の鐘の声、諸行無常(しょぎゃうむじゃう)の響きあり。娑羅双樹(しゃらさうじゅ)の花の色、盛者必衰(じゃうしゃひっすい)の理をあらはす。奢れる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし。猛(たけ)き者もつひには滅びぬ、偏(ひとへ)に風の前の塵に同じ。

  祇園精舍の鐘の音には、諸行無常すなわちこの世のすべての現象は絶えず変化していくものだという響きがある。娑羅双樹の花の色は、どんなに勢いが盛んな者も必ず衰えるものであるという道理をあらわしている。世に栄え得意になっている者も、その栄えはずっとは続かず、春の夜の夢のようである。勢い盛んではげしい者も、結局は滅び去り、まるで風に吹き飛ばされる塵と同じようである。

  05

  纪行文

  『おくのほそ道』

  松尾芭蕉(まつおばしょう)江戸時代

  月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり。

  舟の上に生涯を浮かべ、馬の口とらへて老いを迎ふる者は、日々旅にして、旅を栖とす。

  月日は永遠にとどまることのない旅人のようなものであり、来ては去り、去っては来る年も、また(月日と同じく)旅人である。

  舟の上で生涯を送る船頭や、馬のくつわを取って年老いていく馬子は、毎日毎日の生活が旅であって、旅そのものを自分の住みかとする。


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