2022考研:二外日语『破戒』のあらすじと特色について
2021.09.06 07:13

  2022考研:二外日语『破戒』のあらすじと特色について

  本文は『破戒』について簡単に紹介する。注釈と冒頭文が付いている。

  『破戒』は被差別階級出身の青年、瀬川丑松が自分の出生を周囲に告白するかどうかで苦悩する様子が描かれた。作品名の『破戒』の意味は、父親によって教えられた、「絶対に自分の身分を明かすな」という訓戒を破るという行為のことをさしている。

  部落出身の青年教師瀬川丑松は幼少期から被差別階級としての扱いを周りから受けていた。丑松が八歳になると、父親は身分を知られていない根津村の小学校に丑松を入れ、他の子供と同じように育てた。

  その後の丑松が師範学校に入り、飯山の小学校教師になった。そこでも彼が部落出身だと誰一人として知っていない。瀬川丑松も「身の素性」を「隠せ」という父親の戒めを守り、被差別地区出身であることを秘していながら暮らしていた。

  ある日、父親の死によって帰郷する丑松が同族の猪子蓮太郎との交流をさらに深めることになった。隠すことに心身労している丑松が、自分が部落出身と宣言し、社会的偏見と堂々と戦い、部落解放運動に身を投じている先輩猪子蓮太郎を慕っている。蓮太郎の死をきっかけに丑松がついに告白を決意した。

  彼は自分が部落出身という事実を告白した。精神的には自由になるが、現実的には正当的な立場を失ってお志保をつれてテキサスへ移民することになってしまった。

  『破戒』は部落出身の青年教師瀬川丑松が因習と戦う悲劇を描い、不当に差別されるという人間の基本的人権が侵害される封建性にいどむ近代人の苦悩にもとづく深刻な告白の内面構造を描き、その主題の社会的問題性とともに、背景として写し出した地方色の精細な描写によって注目された。

  また、鋭い社会批判の目を持っていなかったとはいえ、そこに盛られた社会性とそれを自己の生の願望と統一しようとしたありかたとは、その後の自然主義文学が正当に発展してゆく礎石として重要なものである。

  ※

  ① 部落民:賤民の一つ。賤民は、封建的身分制度が確立し、士農工商にもはいらなく、外された最下級の階級として、穢多や非人が置かれ、きびしい差別が行われた。解放令によって身分制が廃止されたが、差別意識が根強く残っていた。

  ② 冒頭文:蓮華寺では下宿を兼ねた。瀬川丑松が急に転宿を思い立って、借りることにした部屋というのは、その蔵裏つづきにある二階の角のところ。

  ―『破戒』(島崎藤村)


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